社会福祉法人 優輝福祉会 「里山資本主義」実践レポート
里山にはお金に換金できない大切な価値が眠っている
日本を救うモデルの最先端は、実は里山にあった
●里山資本主義の定義
里山資本主義【さとやましほんしゅぎ】名 | かつて人間が手を入れてきた休眠資産を再利用することで、原価0円からの経済再生、コミュニティー復活を果たす現象。 安全保障と地域経済の自立をもたらし、不安・不満・不信のスパイラルを超える |
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項 目 | マネー資本主義 (稼ぐ力) | 里山資本主義 (傍楽-はたらく-力) |
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一口に言えば | 人間の価値が小さくなる改革 | 人間が大きく見える改革 |
ものさし | 金が一番 ・金 ・効率 ・便利、楽がいい | 金よりも大切なものがある ・いのち ・いい人間関係 ・役立ち感 |
幸せの定義 | 金がある | 笑顔があふれている |
目 標 | 金を稼ぎ貯め込む | 傍にいる人を楽にし縁をつなぐ |
動 機 | ナンバーワンになりたい ・画一性を目指す | オンリーワンになりたい ・多様性を目指す |
戦 略 | 他者、多集団から奪い取る 来世次世代からも搾取 (地下資源、土壌、大気、子ども、借金、汚染物質を後世に) | 他者貢献 自給自足 環境再生が可能な範囲でほどほどに使う |
労 働 | 経済活動的労働 モノ商品、カネ利潤の生産の産業労働 (農業) 雇用労働 | 家庭地域活動的労働 育児、家事、介護、地域社会の仕事、ボランティア (百姓) 協同労働 |
「里山資本主義はコーヒーのミルクのようなもの」
「里山資本主義」は、おカネが全てを支配するかのごとく振る舞う「マネー資本主義」の欠陥を補う仕組み。つまり、マネー資本主義がコーヒーだとすると、里山資本主義はミルク。入れたい人は混ぜてください、お好きな割合でどうぞ。
日常生活のほとんどはマネー資本主義でまかなっているけれど、2パーセントくらい自給自足しますということでもいいんです。
「オレは3割だ」「ワタシは7割よ」と、ブレンドが大切なんです。
お金で買えない里山の資源には、さまざまなものがあります。
木、市場に出荷できないはんぱものの農作物、耕作放棄地、野獣、退職者など。
野獣というのはイノシシやシカのことでジビエの材料になる。退職者は経験豊かな人材です。
里山資本主義は人とコミュニケーションする暮らしです。お互いに手伝ったり、物々交換したりしますからね。
この関係が、おカネが足りなくなったときや、モノがなくなり、売られなくなったときに生きてくるんです。
参考: | 藻谷浩介氏(『里山資本主義-日本経済は「安心の原理」で動く』著者)インタビューより抜粋 『SINRA 2015年1月号(復刊3号)』 新潮社(2014年11月24日発売) 72-3頁 |
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●『里山資本主義―日本経済は「安心の原理」で動く』の中で紹介された優輝福祉会の取組み

備北湖域生活活性化協議会の取組(平成23年4月~平成25年3月)
平成23年 9月 | 設立総会 | 備北湖域生活活性化協議会 発足 |
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平成24年 1月 | つながる交流研修会① | 鮎の中間育成について |
2月 | つながる交流研修会② | 地域通貨の活用について |
桜咲く地域づくり楽会 | 桜植樹講習会、音楽コンサート | |
3月 | つながる交流研修会③ | ゲスト:中国新聞総合編集部長 |
たっぷり里山『歓交』ツアー | 吉舎町・総領町・口和町巡り | |
桜の植樹イベント(総領町) | 桜の植樹 | |
節分草まつり共催 | 活動概要告知 | |
4月 | つながる交流研修会④ | 有機栽培(発酵もみ殻堆肥)について |
視察研修 | バイオマス関連・桜の植栽関連視察 | |
5月 | 里山・笑湖(エコ)祭 | 里山の山菜料理、ピザ教室、餅つきなど |
空き家公開さろん | シンポジウム、足湯、エコストーブなど | |
6月 | 第30回逆手塾 | テーマ:里山拡命 |
つながる交流研修会⑤ | 米粉スイーツの試食検討会 | |
7月 | 桜志民会議「備北桜ねっと」 | 桜のネットワーク・情報交換会 |
8月 | 里山料理コンテスト① | 夏野菜を使った料理 |
田総川を丸ごと食べる会 | 里山・川魚料理、釣り大会など | |
9月 | 里山料理コンテスト② | いもくりなんきんを使った料理 |
10月 | 備北米-1グランプリ | 備北の米・米粉を使った料理、スイーツ、ごはんのおとものコンテスト |
11月 | 視察研修 | 吉田町・邑南町・周防大島(食の循環) |
12月 | 里山料理コンテスト③ | 青菜・葉物野菜を使った料理 |
平成25年2月 | つながる交流研修会⑥ | バイオエタノール研究 |
里山料理コンテスト④ | 漬け物を使った料理 | |
桜の植栽(三良坂) | 桜の植樹(補植)、桜の管理(剪定) | |
3月 | 節分草まつり共催 | 活動報告パネル展示等 |
里山循環シンポジウム | 協議会活動報告・桜の植樹(畑原地域) | |
毎月1回 | 里山の達人養成講座 | 燻製教室、エコストーブ教室(計14回) |
●書籍紹介
『里山資本主義―日本経済は「安心の原理」で動く』藻谷 浩介・NHK広島取材班 著 角川neoテーマ21(2012)
![]() | 【テーマ】 日本経済とコミュニティー (目次)課題先進国を救うモデル。その最先端は“里山”にあった!!/地域の赤字は「エネルギー」と「モノ」の購入代金/原価ゼロ円からの経済再生、地域復活ができる/知られざる超優良国家、オーストリア/ロンドン、イタリアでも進む、木造高層建築/真の構造改革は「賃上げできるビジネスモデルの確立」だ/「社会が高齢化するから日本は衰える」は誤っている |
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備北湖域生活活性化協議会 編(2013)
![]() | 【テーマ】 どこにでもまねの出来る「福祉施設をポンプ役にしたまちづくり」モデル 備北湖域生活活性化協議会が主となり、平成23年度より2年間実施した「広島県新しい公共の場づくりのためのモデル事業」の取組み事例報告。食の循環プロジェクト(里山産品事業)の他、人の歓交(循環)プロジェクト、環境・エネルギーの循環プロジェクトについても詳しく取組み事例が紹介されています。 |
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和田 芳治 著 CCCメディアハウス(2014)
![]() | 【テーマ】 広島の山奥に暮らす「日本里山史上最大の怪(快)人物」が語る、お金よりも大切な“本当の豊かさ”とは この本を読んでから、『里山資本主義』を書くべきだった……! これこそ里山資本主義者の聖典(バイブル)だ。 ――『里山資本主義-日本経済は「安心の原理」で動く』著者・藻谷浩介氏推薦! 「里山を食いものにしようなんて許せない」が多くの人たちの反応でしょう。しかし、生き物は(もちろん人間を含めて)何か弱いもののいのちを食いものにして生きています。その中で人間だけは、道具や火を使うことを覚え、強いものを食いものにしている、生き物の世界では「許し難い生き物」だというのが正解ではないでしょうか。(「はじめに」より) マネー資本主義を補完するサブシステムとして、里山を利用した生活を取り入れれば、「50年後に素敵な日本の暮らしが手に入る」とする『里山資本主義』の中で、「素敵な暮らしを今やっている人」と紹介され、今や全国に引っ張りだこの和田芳治さんが提案する、原価0円・楽しく楽しく、とにかく楽しい人生の送り方を余すところなく紹介する1冊です。 |
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